元東武百貨店のセールススペシャリストの高林巌さん
私の人生の師の1人に、元東武百貨店のセールススペシャリストの高林巌さんがいます。高林さんは現役時代に靴を20万円、30万円とバンバン売っていたカリスマ販売員です。
私は、高林さんからもいろいろなことを教えていただいたのですが、ある言葉が私の心に強く刻まれています。それは・・・
高林さんは、バブル全盛期で百貨店業界が隆盛を極めている頃に花形部門の広告宣伝部で活躍をしていました。当時の名だたるコピーライターやデザイナー、アーティスト、プロデューサーと一緒に仕事をしていました。
しかし、50歳を過ぎていきなり高林さんに紳士靴売場への転属の辞令が降りました。それまで華やかな広告業界に居た高林さんはショックを受けました。辞表を出そうかと真剣に考えました。
靴をピカピカに磨いてあげたらお客様が涙を流すほどに感動してくれた
でも、結局、高林さんが会社を辞めなかったのは仕事への情熱があったから。高林さんは配属先の靴売場で猛烈に靴のことを勉強したそうです。販売について貪欲に学んだそうです。そして、ある時、お客様の前で靴をピカピカに磨いてあげたらお客様が涙を流すほどに感動してくれたそうです。
その時、高林さんは思いました。
「靴を真剣に磨いただけで、お客様はこんなに喜んでくださるのか」
それから、高林さんは休みのたびに靴の専門家に会いに行き、新橋駅で40年間毎日靴を磨いている有名な靴磨き職人に会いに行き、評判の良い靴磨き店や修理店のことを耳にするとすぐにそこへ通い続けて靴磨きの技術を学びました。
そして、靴売場では心を込めてお客様の靴を毎日毎日磨きました。汚れた靴をピカピカに輝くまで磨きました。何年も何年も磨き続けました。ついに高林さんの右手の指には指紋がなくなりました。靴を磨きすぎて指先がツルツルです。
やがて、高林さんの知識、技術そして人間性に惚れ込んだお客様がどんどん増え始めました。高林さんの名刺ホルダーには一流企業の経営者や幹部、著名人、文化人の名前が並ぶようになりました。
退職された高林さんは、一時期、池袋東口でシューズ・バーを営んでいらっしゃいました。
靴を磨きながらお酒が飲めるお店です。お酒を飲みながら靴を磨けるお店です。
そのお店で高林さんと会った時に次のように教えてくださいました。
「酒井さん、幸せに生きるには好きなことをやるか、今やっていることを好きになるしかないですね」
私の人生で強く印象に残っている言葉の一つです。
良き出会いに感謝。
米国NLP協会認定ビジネスコーチ 酒井とし夫
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